2025/05/24 18:37
犬という動物と通じ合うために
スリップリーシュを使用するにあたって最も重要なのは位置なのです。
最も首の高い位置。耳のすぐ下、顎の付け根の背後あたり。
このゾーンには繊細な神経や感覚が集中しており、軽いテンションがかかるだけで犬に十分な合図を伝えることが可能。
また、力点と支点の関係からは、より首の上部に力点を置くことで、より少ない力で全身の向きを変えることができ、犬は頭を高く保ちやすくなり、前肢に重心が乗りやすくなります。首の下や胴体では、力が分散しやすく、犬にとっては「曖昧な合図」になります。
これは、牛の鼻輪や、馬のハミ(ビット)と同じ原理。
たとえば牛。あの巨体を導くために、人は鼻の内側という繊細な部位に輪を通し、最小限の圧で最大の意識を引き出す。馬においては、口の中のビットが手綱のかすかな動きを感知し、力でなく感性で動きを制御する。3500年前から始まった馬と人をつなぐハミ。馬をコントロールし人馬のコミュニケーションを円滑にするためのハミは、人類と馬をつなぐ世界共通の言語のようなものといえるだろう。ハミがなかったら人類と馬はここまで親しくはなれなかったとも言われている。
犬もまた、身体の敏感な部位にこそ意識を向ける。
首の高い位置でスリップリーシュを用いると犬は集中力が増し、飼い主の動きに耳を傾けるようになる。そこには、引っ張り合う力関係ではなく、通じ合おうとする気配の交換が生まれる。
動物の本能と身体の構造と、そして人間の意思をつなぐラインとしてのスリップリーシュ。
その位置が正しくあること。そして正しい使い方を学んで使用して愛犬とのコミュニケーションを。