2025/06/10 13:06
犬たちは、私たちの言葉そのものを理解しているというより、反応しているのは言葉の「意味」ではなく、その「響き」と「気配」だということを意識した方がいい。
高く弾んだ声には喜びが宿る。低く鋭い声には、緊張と注意を促す空気が漂う。
言葉の内容以上に「どんなエネルギーで語られたか」が、犬にとっては何よりの手がかりになる。
朝の静けさの中で名前を呼ぶと、やわらかい声の波が部屋を満たす。
一方で、興奮を止めたいときには、短く、低く、気迫を込めて、まるで一滴の墨が水に広がるように、緊張感を含んだ響きを届ける必要がある。
特に、声のトーンが高めの女性にとっては、低く落ち着いた声というのは、少し難しさを感じる場面もあるかもしれない。
無理に声を低くしようとしても、うわべだけでは犬には伝わらない。必要なのは、「怒る」ことではなく、「決める」こと。
自分の内側から静かに発せられる、確かな意志のあるトーン。
「短く、低く、気迫を込めて」
感情の波に飲まれず、深く息を吸って、自分の重心を見つける。
そして一言。たった一言、でも芯の通った声で。
それだけで、犬の視線がふとこちらに戻り、点と点がつながる。
