2025/07/11 10:35
暑さが厳しくなるにつれて、犬の被毛を短くカットする「サマーカット」を選ぶ人が増えてくる。
見た目にも涼しげで、何より暑さを少しでも軽減してあげたいというやさしい思いがそこにはある。
けれど、犬の被毛はただの飾りではなく、彼らの身体を守る仕組みの一部でもある。
特にシングルコートと呼ばれる下毛の無い犬種は、熱気や紫外線、虫などから皮膚を守っている。
つまり、私たちが「毛があると暑そう」と感じるのとは裏腹に、被毛そのものが天然の断熱材となって働いている。
そしてもう一つ。
犬は少しの足の裏以外、汗をかけない。暑さを逃す手段の多くはパンティング(口からのハァハァ呼吸)に頼っている。
だから、毛を刈ったところで体温調節の仕組み自体が変わるわけではない。
もちろん、毛玉ができていたり、通気性が悪くなっていたりするなら、整えてあげるのは必要なこと。
でもそれは、刈ることとは違う。整えること。
それだけで、犬はちゃんと夏に向き合える準備ができるのだ。
なので人と同じ感覚での外で扇風機の使用は犬にとっては逆効果なのです。
犬のからだにとって、被毛は「服」ではない。
切って涼しくなるものではなく、彼ら自身の一部として、大切に付き合っていくべきもの。
だから、今年の夏は、少しだけ見方を変えてみてはいかがでしょうか?
「切る」よりも「整える」こと。
そのほうが、きっと犬にとっては、心地よい。
