2025/09/25 11:40
犬の世界でよく出てくる言葉に「エナジー」がある。
どこかスピリチュアルな響きがあるけれど、別に魔法でも超能力でもない。
たとえば、人がまとう空気、呼吸のリズムや姿勢や声のトーン。そこから自然ににじみ出る気配のようなもの。
犬は言葉そのものよりも、その気配に反応して生きている。
飼い主が焦って声を張り上げれば、犬は「え、どうしたの!?」と緊張するし。
逆に、落ち着いた空気で立っていれば、「大丈夫だな」と安心してついてくる。
だからコマンドを何度も繰り返すより、まず自分のエナジーを整えるほうがずっと効果的だったりする。
人間同士で言えば、「気を遣わせない良い人」よりも、「周りの人に気を遣わせてしまう人」のほうが犬にはわかりやすい。
ドッグトレーナーがリーシュを持っただけで犬がシュッと姿勢を正すこともあれば、何もしていないのに近づいただけで吠えられる人もいる。その違いをつくっているのは、技術ではなく紛れもなくエナジーですね。
犬の問題行動を抱える飼主さんの多くは、「気を遣わせない良い人」が多いと思う。
犬に優しく気を遣いすぎる飼い主は、犬を不安にさせていることが多いのです。
エナジーとは、特別なテクニックではない。
例えばソファで寝ている犬に対して「ごめんね」「席を譲ってもらえますか?」ではなく、「どきなさい」のエナジーを出せているのか。
そのシンプルな積み重ねが、犬にとっていちばん安心できる関係をつくる。

